第57話 : エッセイ
2011/11/28

ごまめの歯ぎしり



♪ あなたの芝居を拝見させていただきました。今の現状では日本演劇界最高の作品でしょう。あなたは S さんと親交が深かったし、大勢の名優を輩出した B 座のご出身ですから当然といえば当然ですが。・・・会話の中でならあまり目立たないが、こうして書いてみると二重の表現が日本中でまかり通っているのに驚く。日本語は力を失っているのか。
 
♪ 彼等がリレー式の世界旅行をスタートしたことを周知しましょう。主催者は年1回の開催を普及するつもりです。・・・近頃では自動詞と他動詞の区別なんぞ、ないも同然である。NHK ですら散見ならぬ散聞するから、言った者勝ちか。キーキー(歯ぎしりの音)。
 
♪ 国文法にはうとい私でも、最近動詞の名詞化みたいな使い方が耳障りだ。国会やら選挙戦やらで先生方がしきりとおっしゃっている。いわく、協議が開始をしました。長官が来日をされました。成立だの、表明だの、も同罪である。ただし、閣議決定をした、のような場合は名詞としての重みが増したとみて、OK したい。読者はこの意見に賛同されるか、反対を(!)されるか。
 
♪ 「あたし、あのドラマには何度も号泣しちゃって・・・」 「我々、そのことは想定していなかったので、ご指摘は素直に受け止めたいと存じます」・・・なんか変である。号泣だの素直だのは本人が言うことではなく、第三者から見てのことではないのか?ギリギリ(再び歯ぎしり)。
 
♪ 外来語に関しては、ジャーナリズム、マスメディアの思慮深さといっそうの勉強を強く求めたい気分である。何故なら、新しい言葉が真っ先に入ってきて、料理され、表現され、広められるのはジャーナリズムにおいてだからだ。レディー・ファーストもメジャー・リーグ(NHK は大リーグと呼ぶことに決めている様だが)も、最初からレイディ、メイジャーとすべきだったと思う。ついでに思うのだが、少しでも情報量を増やそう、紙面を利用しようとするあまり、レイをレとし、メイをメとしたのでなければ幸いである。広辞苑第六版で試みにフォとホを見てみると、ユニフォームとユニホームは両方出ているが、プラットホームやアルミホイルはフォのものがない。
 
♪ 外来語で関係者の無神経ぶりが近年目立つものにコンシェルジュや人名のグラシェラがある。もともとフランス語、イタリア語と知れば何らかの方法でチェックして、正しくコンシエルジュ、グラシエラとしてほしい。広辞苑はさすがにコンシエルジュになっている。似たような話なのでここに書くが、広辞苑にあるアンチ・エージングは丸谷才一さん主唱の通り 「・」 が入っていて立派である。もしこれに 「・」 がなければ、アンチェージングと発音されてしまう危険がある。
 
♪ 外来語の発音と表記はどのように定着していくのだろう。リウマチは今ではリューマチと発音し、リューマチと書く。ではギリシアは? 朝日新聞はギリシャである。上記広辞苑ではギリシアのままである。
 
♪ 視力が鈍ったので余計気になるのかしれないが、活字で濁音と半濁音の区別がむつかしく、厄介この上ない。技術大国の日本よ、なんとか考えてくれ!
 
♪ クリスマス商戦のデパート、きらきらとまぶしいケーキ売場、そこには今年もビューシュ(薪)ならぬ 「ブーシュ・ド・ノエル」 (クリスマスの口) が並んでいる!
 
( 2011/11/28 )
 
 



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