第40話 : エッセイ
2010/6/28

万幹の本名は?

 
つたない短文の書き散らしでも、次第に増えて、第40話を書く時が来た。歩幅は小さくても前へ進む限り、視界は変わるし、人様との新しい結びつきが生まれる機縁となることもあろう。




  ところで、このホームページの数少ない読者は、ほとんどが筆者の本名をご存じだから、勿体をつけて第40話記念本名披露!なんて気張って言えば、バッカじゃなかろかと言われること必定である。中には、漱石でもあるまいに!と吐いて捨てるように言う向きもある筈だ。それでも、そういう方々は、筆者が何故ペンネームを使っているか、見当はついてらっしゃるのである。ついでに言っておくと、ペンネームの万幹は万年幹事を意味し、何の万年幹事なのかは第6話で触れている。
  筆者の本名は金太郎である。今日のところは出生時に由来する嬉しくも悲しい名であるとだけ言っておく。少年時代から独身時代へとだいぶこたえたが、年金暮らしで髪うすく、歩いても泳いでも人様に追い越され、物忘れのひどいジイジとなった今では、この名に関してももはや達観の境地に近付いている。それに、近頃気付いたことだが、金太郎と名を告げてもほとんど無反応の人が結構多いのである。童話や昔話は昭和の遺物となってしまったのか。
  さはさりながら、ペンネームのもとで何かを書くというのは、ある種の快感を覚えさせるものだ。それは仮面舞踏会とか演劇の舞台で感じられるものに似通っているかもしれない。空想をたくましくすれば、これはもう妄想の域だろうが、二つの人生を生きられる!と言えなくもない。また、テレビ全盛の昨今、星の数ほどいるタレントが芸名を持っていて、洒落好きの筆者はよく出来た芸名に心底感心することが多い。更に、ラジオを聴いていると、リスナーたちの凝りに凝ったラジオ・ネームが次から次へ出て来て実に面白い。
 
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  金太郎をめぐっての秘話やら悲喜こもごもの話を、とリクエストされそうなので、とびきりのを一つだけご紹介することにする。
  今からもう15年以上も前のことになるが、金太郎温泉が選りによって富山県にあることをチラシで知った義父は、それを嬉しそうに教えてくれた。魚津市にあるという。還暦が近付くや筆者は、ズバリ還暦の日にくだんの温泉に泊まることを決意、ぬかりなく準備を進めた。かつて全国的な組織だったという金太郎会の定宿だったそのホテルは、筆者夫婦を大いに歓迎してくれた。富山市その他も回り、心地よい数日を過ごして還暦旅は忘れがたいものとなった。するうち、この旅のことが週刊文春に伝わり、平成7年12月のある号で紹介された。(上前淳一郎のコラム「読むクスリ」)。このコラム集がやがて単行本となりさらに文庫本となって巻を重ねたことは知る人ぞ知る。
  話を 「ふみよむつきひ」 にもどす。正体を明かした筆者は、今やネタが一杯に入ったカバンを手に入れた心地がする一方、このホームページが一方通行である以上、あまりいい加減なことは書いてはならない、書くまいという気もしている。
 
( 2010/05/11 )
 
  

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