第35話 : エッセイ
2009/12/28
蒸し料理
  慣れというものはおそろしいもので、用心すべき場合が多いが、ちょっと良い面も持っている。独居の日を重ねてくると、三食の支度で思い煩う程度が少しずつ軽くなってきたのを実感している。そんなある日、ミニせいろで肉饅を蒸して食べた。蒸すのは初めてだが、案外簡単においしく出来た。これまで蒸すということについてあまり考えたことがなかったので、この際ちょっと思いをめぐらせてみた。
  なにかを食べるために蒸すのと、別の目的で蒸すのとに大別してみよう。ーー「今日は蒸しますねえ」 「ほんと、ムシムシするのはこりごりだぁ」ーーでも、スポーツセンターでサウナから出てくる赤ら顔の男達はみな満足そうだ。すぐ水風呂に飛び込むオッサンもいる。しかしここでは蒸し料理の話となる。
  餅は蒸したもち米から作る。大学生の頃母と組んで一日に13臼搗いたことがある。密かな自慢である。話はとぶが、茶碗蒸しを嫌いな人はまずいないだろう。アワビの蒸し焼きなんて、聞いただけでツバが出てくる。ギョーザ、シウマイ(何故かシューマイとはあまり書かない)、せいろそば、温泉饅頭、蒸しパンなどなど、おいしい食べ物が次から次へと頭に浮かぶ。
  物の本によれば、蒸気で食材の表面が加熱されてうまみを閉じ込めてくれ、水っぽくならない。そのためには湯気の立ったところに食材を入れるのが鉄則だそうな。また、蒸気が強すぎる時はフタと蒸し器の間に箸を挟むとか、湯が足りなくなったら必ず湯を(水でなく)継ぎ足すことを覚えておこう。
  先日のNHKテレビでは 「蒸しサンマ」 を紹介していた。受け売りをさせてもらえば、ワタと頭を取ったサンマをまん中で二つに切り、くさみを落とすためにさっとお湯をかけ、大き目の昆布二切れに寝かせて蒸すのである。(昆布は予め一時間ほど水につけておいたものを使う)。
 
      ( 2009/12/28 )



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