第19話 : エッセイ
2008/4/16
  粘 り 勝 ち




3月の一夕、テレビは某デパートでの某県物産展を紹介していた。中でも、地元のホタテ・牛肉・豚肉を使ったハンバーグとイクラを盛った 「ホタテ・ハンバーグ弁当」 を産み出すまでの苦労に焦点が当てられていて、結果、客が列を作るまでになったよし。一度食べてみたいね、と言うと妻もうなずいていた。
 数日後、近くへ行ったついでに私はそのデパートに足をのばし、会場を覗いてみた。なるほど、長蛇の列が見え、怖れをなした私は代わりに 「ゆべし」 を買って帰った。久しぶりでもあり、これはこれで美味しかった。
 そして今日、半日をいろんな買い物に充てるつもりで家を出た私は、最後にくだんの催事場へ急いだ。最後尾と書いた掲示板を持つ人によれば、約1時間待ちとのこと。行列して待つ間、「テレビの力ってほんとに凄いですね」 なんて前後の人と話したりしているうちに、実際は40分もすると私の番になり、念願の弁当を手にすることがかなった。
 
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 この物産展には賞品の当る抽籤があり、一定数の補助券があれば1回抽籤できるしくみであった。が、前回の 「ゆべし」 プラス今回の弁当でも1回抽籤にも達しないので、欲張りな私は、ある菓子売場のおばさんにそのことを打明けながら少量を買い求めた。おばさんはこの話に感激し、たっぷりと補助券をにぎらせてくれただけでなく、「私のところからはよく当るのよ、頑張ってきてね--」 と励ましの言葉まで・・・
 ガランガランと回す式の抽籤機のところは比較的空いていたが、ともかくここで私はジャーン! 1等の銀色の球が転がり落ち、係りの女性は目を丸くしたまま鐘を打ち鳴らし、周囲の人達は拍手してくれた。賞品の雲丹が入った箱が冷凍庫から届いた時、周りの人々はもう一度拍手してくれ、私は四方へペコペコとお辞儀した。それから私は人込みを掻き分けて例のおばさんのところへ行き、くり返しありがとうを言った。
 こうなると、「私は籤にはからきし弱くて・・・」 とは、もう言えないのだろうか。
 
 


                                  ( 2008/03/22 記 )

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