第11話 : エッセイ

年 の 瀬 に
2005年 12月 7日




 
年賀状に気のきいたことを書きたい私は、数日間あれこれ考えた。干支では平成18年は丙戌(ひのえいぬ)にあたるという。で、年賀状関連ビジネスでは犬の絵や写真や文字が日本中にあふれている感じで、郵政公社はそのリーダーかもしれない。パソコンから得られるいわゆる「素材」を利用する手もあるが、名刺に「詩人・画家(になりたい)」と刷っている手前、それでは沽券にかかわる。よーし、と思ってパソコンの 「ペイント」を使って犬の絵を描いてみたら、2回とも、まるで狼か鬼瓦のようになってしまった。いかん、これでは受取った人が怖がる。
 
もちろん、マサオ君の写真を採用することは、ペイントよりも早く、まっ先に考えたことである。マサオ君というのは白いシー・ズーで、先日夫婦で鶴川の武相荘(旧白洲邸。ぶあいそう、と読む)を訪ねた帰りに道で出会った。ストライプ柄の服がマッチしていて、とにかく可愛い。ただ、横から出ている飼い主さんの手がどうしても画面から消せない。結局、マサオ君にはすまないけれど、この案はボツとした。
 
行き詰まった私に出来たことは、英語のドッグという単語にからんだ言葉を記憶の中から探し出すことくらいしかなかった。いくつかを紹介してみよう。It rains cats and dogs. (ドシャ降りだ)、hot dog (ホットドッグ)、dog days (盛夏)、dog-ear (本のページ隅の折れ。犬の耳とは言い得て妙)、dogwood (ハナミズキ)、dog paddle
(犬掻き泳ぎ)、そして dog-eat-dog というのは、食うか食われるかの(生存競争)という意味。─ しかしこんなことをもの知り顔で書いてみても、すがすがしくあるべき新年の日々にはなんだかそぐわない気がしてきた。かくて私の年賀状作りは、新たな模索に突入するハメとなったのであった。
 
話をはぐらかした様で申しわけない。そこでお詫びのしるしに、いつも年の瀬になると口をついて出てくる讃美歌 461番(とその替え歌)をご披露する。
 
 
  原 歌  主われを愛す、 主は強ければ、
 
        われ弱くとも  恐れはあらじ。
 
        わが主イェス、 わが主イェス、
 
        わが主イェス、 われをあいす。
 
 
  替え歌  エスさんわてを愛しはる、 わて弱いけんど、
 
        エスさん強いよってに、  こわいことあらへん。
 
        わてのエスさん、     わてのエスさん、
 
        わてのエスさん、     わてをあいしはる。
 
 
今も歌われているのかどうか、私は全く知らない。わが独身時代も終わりのころ、ふくよかに美しい T 夫人から、神戸の女学校でよく歌ったものですわ、と教わった。
 

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